加齢に伴う摂食・嚥下障害への対応
食事は、生きていくために必要なだけでなく、重要な楽しみの一つです。
しかし、年齢を重ねると、身体機能や認知機能に色々な問題が生じます。
摂食・嚥下機能の変化
以下のようなものが機能変化・低下を起こします。
- 咀嚼力
- 唾液分泌
- 味覚
- 嚥下反射
- 咽頭機能
- 咳反射の減弱
- 不顕性脳梗塞
- 精神機能
- 薬剤の影響
変化への対応
上記のような変化に対しては、以下のような対応をしていきます。
- 摂食・嚥下機能そのものの維持・強化
- 食物形態の工夫
- 一口量の調整
- 食事姿勢
- 新肺機能の維持・強化
対応について詳しくみていきます。
摂食・嚥下機能そのものの維持・強化
食べることには、口腔・咽喉頭・頚部の多くの筋が関与しています。
これらの筋肉の力が衰えることによって、食べる力が衰えますので、筋力アップを目指していくことになります。
口を開ける、閉じる、舌を動かす、頬を膨らませるなどの嚥下体操を食事前に行うなどが有効です。
また、全身機能の向上も有効と言われていますので、デイサービスの利用などが有効です。
食事形態の工夫
食事が食べられなくなった人も、食事の質を変えることによって、自分で継続して食事が取れることがあります。
例えば、食べ物を噛んで咀嚼し、細かく砕くことが難しくなった人にはミキサーなどでペースト状にした食べ物を提供することがあります。
とはいえ、それでは見た目が悪く食欲がわかないということで、最近では、形があるにもかかわらず、簡単に口の中でほどけるような食品も開発されるようになってきています。
なお、食べやすくするためということで、水気の少ないバラバラの食べ物をペースト状のものに混ぜるのは、却って食べにくいのですが、このような食べやすくするための正しい知識を学ぶことは非常に重要です。
食事姿勢
高齢の方は円背の方が多くおられます。頚部が後屈した状態になりやすく、飲み込みが行いにくくなります。
食べられないのが、姿勢のせいであることは多いです。
車椅子のまま食事をとるのではなく、椅子に座り直すことが有効な方がおられます。
それは、机との距離が縮まったり、床に足がついて安定が良くなったりするからです。
シーティングの技術は重要です。
筋力低下などによって、椅子座位が困難な方にはクッションを用いて体幹を安定させるポジショニングが必要です。
心肺機能の維持・強化
呼吸器が弱くなると、誤嚥性肺炎になりやすくなります。
呼吸器だけを鍛える方法もありますが、すぐにできるのは全身機能の向上を図ることです。
散歩をしたり、離床する時間を増やすなどしていきましょう。
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