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MCI(軽度認知障害)

MCI(軽度認知障害)とは、認知症と何も問題がない健常な状態との中間に位置づけられる状態です。

認知症との違いは、大きく日常生活に障害がみられるかです。

MCIの段階で、治療を開始することによって、その後の病気の進行を遅らせることができると期待されています。

逆に、MCIであることに気づかず、あるいは気がついてもそのままにしておくと、アルツハイマー型認知症へと移行する確率が高いと言われています。(1年後に10%、6年後に80%が認知症になるとの研究報告あり)

つまり、MCIをなるべく早期に発見することがとても大切になります。

MCIとは

改めて、MCIについて詳しく見ていきます。

アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)になる前の段階です。

比較的新しい概念ですが、その重要性から近年非常に注目されています。

なぜならば、この段階から治療を行うことで治療効果が大きいとされています。早期の治療開始によって、MCIの方の15%が健常な状態へ復帰することが報告されています。

逆に、MCIであることに気がつかなかったり、気がついても治療を開始しない事によって、治療を行っていた場合と比べ、認知症の症状がより早いスピードで進行してしまうと言われています。

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MCIの診断基準

診断基準としては、NIA-AAー2011年版が有名です。ここでは、わかりやすさを優先し、一部の表現を改めてご紹介します。

12は認知症と共通しています。

一方で、34は認知症と違う点です。もしも、日常生活に大きな支障が出たり、社会生活が困難になった場合には、認知症と判定します。

1 認知機能低下の実感

患者自身や家族、かかりつけ医から、以前と比べて認知機能が低下しているという情報が上がること

2 一つ以上の認知機能の低下

記憶、視空間認知、遂行機能、言語、注意などの脳の認知機能の働きが弱くなっていることが確認できること

3 日常生活が自立していること

以前よりも要領が悪くなったとしても、家事全般が問題なく営なめているかどうか

4 社会的活動の継続

職業や他者との交流などが支障なく営めること

MCIと診断されたら

「認知症になってしまった」と悲観するのではなく、「認知症になる前に気がつくことができた」と前向きに捉え、すぐに治療を開始します。

なぜなら、すぐさま認知症になったり、必ず認知症になるというわけではないからです。

早期に、薬物療法や下記のような対策をとることで、認知症の発症を遅らせたり、健常な状態へ復帰することが期待できます。

自暴自棄になることなく、現在の生活を見直すことがとても大切です。また、周囲の理解を得られるように動くことで、MCIのかた自身も周囲も、違和感やストレスを軽減することができます。

健康的な生活を意識する

MCIと認知症の有効な治療法に関する研究・エビデンスの蓄積はまだまだこれからですが、健康的な生活が認知症への移行を押しとどめると言うことに対して、一定の認知がなされています。

食生活や運動、趣味活動を広げるなど、健康的な生活を行うようにしましょう。

喫煙している場合には禁煙し、高血圧、糖尿病などの内科的疾患があればきちんと治療を受けましょう。

MCIの診断を周囲に公表する

同時に、認知機能低下による生活のし辛さによるストレスは、さらに脳の機能を低下させる可能性があります。

家族や職場に対して、MCIと診断されたことを公表し、生活と業務遂行に対する理解と協力を求めることがより望ましいと考えられます。

「変化がない」が良いこと

認知症は進行性の病気です。

上記のような生活の工夫によって何も「変化がない」ということは、実は「効果が出ている」と考えられます。

変化がないから意味がない、と辞めてしまうと進行が一気に進む可能性があります。

結果の如何に関わらず、まずは何より、健康的な生活の維持と周囲との協力関係を維持・継続することが大切です。

まとめ

認知症となってから、治療介入を行うよりも、MCIの段階で治療や介入を開始することで、本人が治療に主体的に行動できることが最大のメリットです。

違和感を見逃さず、早期の受診をお勧めします。

補足:MCIと間違えられることがある疾患

以下の病気については間違えやすく、治療可能なものも多いため、専門的な知識を持った医師の鑑別が必要です。また、すでに医師の診断がなされている場合にも、その診断に強い疑問を感じた場合には、セカンドオピニオンを求めるなどが必要です。

  • うつ
  • せん妄
  • 薬剤性
  • 甲状腺機能低下
  • 副腎機能低下
  • 低血糖
  • ビタミン欠乏
  • てんかん
  • 慢性硬膜下血腫
  • 脳腫瘍
  • 正常圧水頭症

公開日:
最終更新日:2016/03/06