精神科病院に認知症患者の方が必要以上に長期に留まる現実とそのデメリット
長期間の精神科病院への入院が慢性化している現実があります。
今日は、その現実をご紹介します。
まず最初に、認知症が原因で、精神科病院に入院してくる人にはさまざまな理由があります。
その理由のもっとも主たるものは、BPSDによる介護の困難がもっとも大きな理由であると推測します。
つまり、入院のもっとも大きな目的はBPSDとそれに伴う諸問題の軽減ということになります。
実際、施設や自宅から、介護の限界を理由に入院される方が後を絶ちません。
そうした方に対して、病院では、攻撃性を和らげるように薬物調整などを行います。
入院中、量や種類をコントロールして、その方にとって適切な薬を見つけていきます。
ひとしきり、薬物調整などを行うのに必要な時間には、大きく個人差がありますが、実は早い方であれば一ヶ月を必要としない方もおられます。
しかしながら、驚くべきことに、そのように薬物調整がスムーズに行えた方であっても、入院が三ヶ月を超えるということはよくあります。
なぜでしょうか。
その理由といえば、その方が退院していく先がうまく決まらないことが多いからです。
介護の現場では、慢性的に需要と供給のバランスが崩壊しており、圧倒的に施設を利用したいと考える側の方がおおい状況が続いています。つまり、どこの施設も空きを順番待ちしている状況なのです。
つまり、PBSDの問題が解決あるいは軽減したにもかかわらず、退院できない方が長期入院をすることになっているということです。
この長期入院によって、地域が必要とする認知症急性期における受け入れのキャパシティーが大きく制限されることが予想されます。
すぐにでも入院が必要な患者様が、病院に入院できないかもしれないということです。
これが、最大のデメリットと言って良いと思います。
現実としてもまさにそのような実態があり、大きな病院では、病棟間でベッドコントロールを行いながら、なんとか空きを作り出しているというのが現状です。
また、もう一つの大きなデメリットとしては、本人の気持ちをないがしろにしている場合が多いことです。
行き場の無い高齢者の方の多くは、そのまま最後の時を病院で終えることになります。
それは、「家に帰りたい」と願う認知症高齢者の方の思いを裏切ることにはならないでしょうか?
この状況を解決するためにはどうしたら良いでしょうか?
それは、病院で経験を積んだ医療関係者が、もっともっと地域にでていくことでなんとかなっていくんじゃあ無いかと思ってます。
特に、現場の人間はもちろんのこと、経営者にそういった人材がたくさん増えたらいいなと思います。
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