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自分の家で「私は家に帰ります!」と訴える認知症の方

      2016/01/31

病院であっても、「家に帰ります」という言葉がそのまま受け取ってよいものかどうかは、一度十分に検討されるべきだと思います。

その訴えは要するに、「ここではないどこかに私が安心できる場所がある」ということです。

もっといえば、「今現在私は不安です」が、比較的しっくりとくる意訳な気がします。

 

とすると、安心できる材料をたくさんたくさんその人に持ってもらうことだったり、いまの不安が何から生じているのかを理解することが大切になります。

私が知っている、施設に入所しているAさんは、夕方になると決まって「わたしは、今日家に帰ろうと思うんじゃけど、どうしたらいいのかねぇ」とスタッフに尋ねます。

初めてその方とお話しするスタッフであれば、きっと「今日家に帰るのはむずかしいですね」と伝えることでしょう。(わりとしっかりとされているし、見た目にもそのような印象を受ける方です。)

ですが、私個人としては「今日は、家の人からゆっくりおもてなしするようにと仰せつかってるのですよ」と答えることにしています。

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その理由は、この方が「家を空けてしまったらそれを家族がどんなに思うだろう?」という不安を抱いておられるからです。

ですから、その不安が和らぐような声かけを意識して行うようにしています。

実際、この方に上記のような声かけを行うと「ああ、そう、ほんとうに。よかった」と安心、納得されることが殆どです。たまに、本当に家に帰りたいという思いが強い時がありますが、その時は、「今日は遅いので、明日の朝一番のバスで帰りましょう」と声かけをして納得してもらうこともあります。

たとえ事実とは若干異なる声かけであっても、それによってその方が安心して過ごすことができることで、本人様にとって安心できる時間がより多く持てるのであれば、そういった声かけは積極的に行われるべきだと思っています。

 

とにもかくにも、認知症の方、一人一人で、その方の発言の背景を考えてみることが大切なのです。

 - コラム

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Comment

  1. m.kodama より:

    グループホームに入所している父も、夕方に帰宅要求があります。
    尤も自宅にいたときから「家に帰る」と言って聞かなかったし、私がキーパーソンになっている認知症の叔父も入所先で帰宅すると言って施設の方を困らせることがあります。
    言ってみれば、認知症老人の帰宅要求は珍しい事ではないという認識を持っているのですが、父が二ヶ月前から入所しているグループホームからは、夕方になるとほぼ毎日電話があります。「お父さんが家に帰りたいと言うので話しをして下さい」と。
    仕方なく毎回、何某かの話をしてなだめますが、本人が納得しないこともあります。
    すると今度は、面会に行ったときに施設の方から「昨日の電話の後も、家に帰ると言い張っていた」と聞かされるので平謝りする事になります。
    そこで質問なのですが、入所している場合の毎回の帰宅要求をなだめるのは家族の役割でしょうか。暴れたり周囲に危害を加えるようなことは今までもありません。
    心情から言えば、あなたの親なんだから対応しなさいよと言うことなんでしょうが、グループホームはその為の施設であり資格であるとの思いもあります。
    先に申しましたように帰宅要求は珍しいことではないと思うので、対応に付いての研修や学習もしているはずと考えています。
    ちなみに、叔父の施設からはその手の電話が掛かってきたことはありません。
    単に施設の問題なのか、全国的にその辺の認識が変わりつつある時期なのか、そもそも家族が対応すべき問題なのか…悩んでいます。

    • hiroemon より:

      コメントありがとうございます。
      まず、私は病院勤務の経験はありますが、グループホームには、関わったことがありません。
      そこを差し引いて読んでいただければ幸いです。

      帰宅要求が珍しいものではないというご意見は、まさに同意するところです。
      そして、ありふれた「帰宅要求」対応の仕方の方法を知っているかどうかは、その施設の職員の資質を象徴していると言っても良いと思います。
      その現場の何を知っているわけでもありませんが、そして、対応についての研修や学習をしているはずと思われるとのご意見ですが、どうもそれが実践に結びついていない印象を受けます。あるいは、社員教育が十分に行われているとは言えない職場環境なのかもしれません。

      ご存知のように、介護・福祉の職場は慢性的な人手不足が背景にあり、その原因となっているのは、現場の人間の労務内容に対して賃金が低いことにあります。
      とすると、そうした現場で働く人というのは二極化する傾向にあり、「その現場で頑張りたいという高い志を持って働いている」か「他に働けるところがないが、お金を稼ぐ必要があるので働いている」のどちらかに偏りがちです。
      勝手な印象ですが、後者の方が多い施設で問題が起こることは面倒なことであり、自分の責任業務の範疇を逸脱しているので困る、と、グループホームの方は主張しているように思います。
      やる気がないと見なされて、仕方がない言動であり、事実やる気がないのかもしれませんが、話半分に読んでいただきたいと思いますが、他に行き場がない方やそのご家族ほどその足元を見てとんでもない対応をされているという事例も、伝え聞くところです。

      しかしながら、相手はその専門性で飯を食っているわけなので、「帰宅要求はなぜ起こるのか」についてきちんと分析をしてもらうことや、帰宅要求が起こった時にどのように対応するかについての打ち合わせなどをきちんと家族とすることなどを要求するべきです。

      当事者のいいなりになって、家族に電話をかけるばかりでは、何の解決にもならないのは、お感じになっていることでしょう。
      帰宅要求への適切な対応は、ネットで検索すればいくらでも出てくる知識ですし、その気があればすぐに実践できます。
      例えば、手前味噌で申し訳ありませんが、以前お会いした帰宅要求の強い方に対しては、
      「家族からたまにはゆっくりしてくださいね、と伝言を伺っています。お部屋も準備してますよ。お金も事前にいただいています。朝食付きです。泊まって行ってください。」
      など、相手の認知や記憶の保持に応じた、声かけの工夫で本人も、専門職も、家族も、ストレスなく過ごせるようになると強く感じました。

      帰宅要求にしても、何にしても、一応臨床の専門家の書いた書籍がありますので、そう言った書籍で勉強されてますか?
      普段どんな研修会をされてるんですか?くらいは、現場主任に雑談程度にお話されてみるのが良いかと思います。
      「電話に応対できないこともあるだろうから、こんな風に言って見ていただけませんか?」
      という提案もありだと思います。

      最後に、一番大切なのは、施設とご本人の間の板挟みになって、kodamaさんが疲弊されないことです。
      帰宅要求をなだめるのは家族だけの役割ではありません。
      当事者の方の目の前にまさにいて、応対している人間が行うべきことです。
      率直に、毎日の電話に困っていることを伝え、本人にうまい返しができないかを施設側と今一度相談されて見てはいかがですか。

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