認知症の方々から学んだこと『人生を楽しんでおいたほうが良い』
臨床の現場で、何人もの認知症の方にかかわらせていただく中で、「楽しみが多い人は病気に打ち勝つ何かを持っている」と強く感じるようになりました。
例えば、孫との楽しみとかそういうのでもいいです。
しかし、意外と若い頃からの趣味というのが、これまた結構大切というか、その人らしい生活を続けられるかどうかのポイントになることは、たくさん目にしています。
80歳の認知症のおばあさま
アルツハイマー型認知症なのですが、昔のことをいろいろと語られます。
もともと多趣味な方でしたが、今は機能低下によってできる活動が限られてきています。
しかし、スイッチが入ると昔のことをあれやこれやと話始めます。
「働く人が、多かった中で、私は裕福だったから、遊ぶんよ。楽しかった」
生き生きと話される表情を見てると、ああ、人生楽しんでこられたのだなあと、しみじみします。
日常生活動作でできないことがたくさんあっても、そういう過去の楽しみを誰かと共有出来るという、現在の楽しみがあることによって今も生き生きと生活されているのだと思います。
最高の認知症対策は、「人生を楽しむこと」
現代人は、何かと時間に追われてしまいます。
自分が自由に使えるはずの時間は、あっという間に過ぎ去り、いつの間にかやらなければならないことが自分に差し迫ってきます。
本当は、遊ぼうと思えば遊べる時間があるのに、なぜかそうしない、そうできない。
そういう生活をしてる若者が多いと、最近の若者は語ります。
きっと、中年以上の人もそうだと思います。
情報は溢れかえり、スマホからインターネットで、一生かかっても把握しきれないほどの情報の海に溺れることができます。
意識的に、ジョギングでもしないと本当に体を動かす機会がありません。
そうして、何かを得たような気になっても、得られるのは、視覚的な情報だったり、質の高くない文字情報の羅列、言語的な情報だったりします。
ちっとも具体的じゃないので、深い部分での感動がなくって、それはきっと年を取った時にあんまり役にたたないもののような気がしています。
だとしたら、逆に人生をしっかりと自分の体を通して、楽しむことができたとしたら、その体験は年を取ってからの自分の役に立つはずです。
まとめ
認知症となった方々のうち、何となく認知症に打ち勝ってるような感じがする人は、勉強ができて、人付き合いが良くて、自分で人生を楽しもうという意欲をもって生きてこられたのだろうなという方々です。
やはり、その人の生き方は、その後のその人の人生を裏切らないのだなあと感じます。
良くも悪くも、です。
(私個人の目に、大変失礼であることは承知しつつも、あんまりに映る人生もたまに拝見します。)
だとしたら、若い世代の私が今するべきことは、精いっぱい自分の人生を楽しむことなのだと思います。
介護にしてもそうです。
義務的にやるのではなく、自分が希望してやるのだという意識が必要なかもしれません。
そうすれば、自分が認知症になった時に、病気と闘うために必要な何かが自然と身に付けられるような気がしています。
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