ケアに疲れたら、必ずいったん距離をとる
心にゆとりがないと、良いケアは出来ません。
当たり前のことですが、日々の生活に追われるとなかなか、距離をとることすら難しくなります。
そうした時に、ふとその人の関わりから離れることができるのは、かなり大切です。
訴えが頻回な70代男性の例
ケア全般に対して抵抗があり、関わりのすべてに対して拒否的、否定的です。
「嫌いよ〜」
「どっかいけえ〜」
とくり返し、時には暴力が出ることもあります。
一方で、生活全般に介助が必要で、更衣や排泄などは本人だけで行うことが出来ません。
離れる=客観視
このような方への対応は非常にストレスを感じることもあります。
病気やそれに伴う不安によって生じているBPSDと理解しているつもりでも、なかなか気持ちを切り替えて対応することは難しいです。
私は、そういう時は一度距離をとってから、他の人とその人の関わりを見るようにしています。
それによって自分自身とその方との関わりについて客観的に見直すことができます。
それによって、より良い関わりができるようになるはずです。
距離をとるというのは、決してその人のことを避けるとか、その人から逃げるということではありません。
自分が、できることやするべきことは何なのかという、本来ケアを提供する側が考えなければならないことについて、冷静に考えることができます。
このことがとても大切なのです。
在宅のケアでも同じ
介護保険のサービスを使うなどして、常にその方と関わり続けることを回避するべきです。
そうすることによって、気持ちも関わりもリセットして、お互いにとってよりよい関係を模索するためのゆとりが生まれるのです。
イライラするのも当たり前
「人間だもの」です。
イライラするということは、自分自身が生きているということの証だと思います。
その代わり、それをなるべく認知症の方にぶつけないように巧く発散していくことが大切なのだと思います。
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